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東愛知新聞にて新連載が始まりました
東愛知新聞におきまして三河市民オペラの冒険と題しましての連載⑨

新聞掲載のサイトでございますこちらをクリックしてご覧下さい。下記にも同内容を転記してございます。
撮影・山本典義 2023年、三河市民オペラ「アンドレア・シェニエ」
【連載】三河市民オペラの冒険〈9〉
唯一無二の熱量追い求めて
(オペラ歌手・笛田博昭)
私のオペラ人生の中でもっとも衝撃的な出会い、それは三河市民オペラと言っても過言ではありません。
最初にオファーを頂いたのは、「カルメン」のホセ役でした。しかしイタリアへの留学が決まっていたために、惜しくもお断りをしたのですが、2013年には「トゥーランドット」のカラフ役を頂きました。今では笑い話ですが、当時オファーを受けた後に公開オーディションで歌ってくださいと言われ、若干の不満を抱いたことを覚えています(笑)。
そんな流れで三河市民オペラで歌うことになりましたが、稽古の段階から圧倒されてしまいましたね。これは他の皆さんも仰っていると思いますが、とにかく熱量がすごい。そして本番では舞台と客席が一体化する。そのようなことを経験したことがなかったので、ただただ衝撃でした。
なぜなのか、と考えたときに導き出された答えは制作委員会の皆さんの熱き行動力です。三河市民オペラの原動力の源はここにある、といっても過言ではありません。そして合唱団の皆さんがこれまた素晴らしい。お一人お一人がソリストのような集団なのです。プロ以上の心構えで臨まれているのだと思います。
ソリスト、合唱、オケ、舞台セットを用意すればそれなりの舞台になりますが、客席を巻き込むようなあのとてつもない熱量が生まれる公演はそうはないのです。全てが特別なんです。
さらにすごいのは絶対に空席を出さない!というところです。常に満席の客席を目指し、それを達成させてしまうのが三河市民オペラなのです。残念ながら予算があるから満席にならなくても良い、という公演もオペラに限らずあるのが現状ですが、それではあのような熱気と興奮にはつながりません。
オペラセミナーなど積極的に開催されていることも、満席の客席や熱気に繋がる大きな理由の一つですね。「お客さまも一緒に育てていく」、その取り組みがあるからこそ、黄金期のイタリアのオペラ座のような、あの盛り上がりが三河市民オペラの舞台にはあるのだと思います。
オペラ歌手は芸術に生かされている、と私は思っています。傲慢になってもいけない、作曲家に対しても常にリスペクトを欠かしません。そんな気持ちを三河市民オペラは汲んでくれる所でもあります。
お金を掛ければ豪華な舞台が出来上がります、しかしそれでは真の感動にはつながらない。客席のお客さまと舞台の私たちが一体となった、あの瞬間が唯一無二なのです。
ありがたいことにさまざまな賞も頂けて、とても誇りに思います。さらにもっともっと良いものを、と誰もが望んでいるでしょう。
そのためには皆がまた原点にかえり、演目も含め改めて三河市民オペラに与えられた使命を模索していくことが重要になるのでは、と私は考えます。今一度、三河市民オペラの唯一無二の熱量を追い求めていけばきっとなにかが見えてくるはずです。
三河市民オペラ万歳!!
東愛知新聞にて新連載が始まりました
東愛知新聞におきまして三河市民オペラの冒険と題しましての連載⑧

新聞掲載のサイトでございますこちらをクリックしてご覧下さい。下記にも同内容を転記してございます。
【連載】三河市民オペラの冒険〈8〉
命懸け成し遂げた奇跡
(テノール・樋口達哉)
三河市民オペラを語るには、この人なしには語れない。鈴木伊能勢。
オペラ制作委員会の委員長であり、三河市民オペラの長(おさ)。彼への信頼、尊敬こそが20年という時を超えて今に至るのだろう。
シェニエ役を歌いたい一心でオーディションに参加。それが、僕と「三河市民オペラ」との出合いです。大作を手がける団体、しかも第一線で活躍する歌手たちが出演しているということで、以前よりその名が知られていました。
正直、はじめは一地方都市の「市民オペラ」としか思っていませんでした。しかし、彼らと時間を共有するとともにその思いはみるみる変わっていくのです。
彼らの素晴らしいところは、「チケットの完売ではなく、満席の会場!」という心意気。コンサートやオペラでよく見受けられるのが、チケットは完売だが空席が目立つ会場。その理由はさまざまですが、「完売」と「満席」とでは全く違います。本番までのプロセスとして、レクチャー講座を開催することも集客につながる要因の一つでしょう。
そして、「お客さまだけに感動を与えるのではない、出演者を含む関係者すべてが幸せになること」という信念。会場いっぱいに鳴り響く盛大な拍手とブラーボー、そしてスタンディングオベーション! 客席の熱気は最高潮!! 僕自身も幸せを感じた瞬間でした。
立ち稽古の初日から合唱団の皆さんの目がキラキラと輝いていて、発するエネルギーはハンパなく熱く、役が生きているのです。
本番では、合唱団を含む共演者、スタッフ、そして会場の熱気にのせられて、まるで自分にシェニエが憑依(ひょうい)したかのように、舞台上には「アンドレア・シェニエ」が立っていました。
その成功を支えたのが、伊能勢さんを中心とした「三河市民オペラ制作委員会」のメンバーの皆さん。彼らのオペラ制作への情熱、世界観、挑戦し続ける志の高さ…。僕の知る限り、これほどまでに意識の高い市民オペラはありません。彼らがいなければ間違いなく公演の成功は無かったでしょう。公演を終えて改めてその偉大さに気付かされました。
まさに命を懸けて、オペラ公演を成功に導くためのいかなる苦労もいとわない。アマチュアだからこその熱量で成し遂げた奇跡がそこにはありました。
30年近くオペラの現場に携わっている身として、改めて確信した「オペラ」という総合芸術の大きな可能性。
全国のオペラ歌手に伝えたい。
一度、この団体と共演してほしい。
そして、全国のオペラ・ファンに伝えたい!
一度でいいから、この団体の公演を観に来てほしい!
公演が終わった当初は、この舞台を全国展開できないものかと切に願いました。
しかし、それは違うのだと今は思えます。
この豊橋、三河の地で地元の皆さんが携わってこそ意味があるのではないでしょうか。
このビジネスモデルは、今後あらゆる作品をも成功させていくに違いありません。伊能勢さんを核として、我々はこれからのどんな困難をも乗り越えて行ける!
「三河市民オペラの冒険」はどこまでも続いて行くのです。
◇
福島県出身。日本を代表するテノール。武蔵野音楽大学卒業、同大学院修了後に渡伊。ハンガリー国立歌劇場「ラ・ボエーム」でヨーロッパ・デビューを果たし、翌年にはオペラ界の最高峰とされるミラノ・スカラ座に出演。その後、メトロポリタン歌劇場管弦楽団(ニューヨーク)をはじめとする多くのオーケストラと共演。その他、ミラノ大聖堂、サン・ピエトロ大聖堂(ヴァチカン)等のコンサートでも成功をおさめる。国内では新国立劇場、二期会を中心に「蝶々夫人」「椿姫」「トスカ」「トゥーランドット」「カルメン」などで主演し、その抜群の存在感は宮本亞門など名だたる演出家、指揮者からも多大な評価を得ている。コンサートでも「第九」はもとより、オペラ界のスターが一同に集まる「NHKニューイヤー・オペラコンサート」等で活躍。東京藝術大学、武蔵野音楽大学講師。二期会会員。オンライン・サロン「ヒグタツ倶楽部」を開設。






