6月10日の森谷真理さんによる出前授業終了後、三河市民オペラ制作委員会が通常使用します会議室に場を移し、「アンドレア・シェニエ」のマッダレーナへの想いを伺いました。なんと、ハリウッド映画「フィラデルフィア」(1993・ジョナサン・デミ監督)を挙げられたのです。名優トム・ハンクスがアカデミー主演男優賞を獲得した名作映画ですが、どこがオペラと繋がるのでしょう?

本作をおさらいしますと、エイズ=同性愛の定義であった頃、弁護士のアンドリュー(トム・ハンクス)がエイズに感染し、弁護士事務所を解雇されてしまいます。エイズ差別による不当解雇として裁判を起こそうとしますが誰も弁護を引き受けてくれません。黒人でかつてのライバルしかも同性愛嫌悪者であったジョー・ミラー(デンゼル・ワシントン)が、アンドリューの真摯な姿勢に心打たれ、共に法廷論争に挑んでゆくお話です。

ジョーが協力する決意を固めた重要なシーンに、「アンドレア・シェニエ」第3幕のアリア “La mamma morta(母は死に)”がマリア・カラス歌唱にて映画で使われます。ジョーがアンドリューの家を訪ねた際に、エイズ進行の弱弱しい姿でオペラにまるで興味のないジョーにかまわず、この曲のレコードをかけます。伯爵令嬢ですが革命によりすべてが失われ、母も亡くし今は自分だけが残り、もはや生きる望みもないことをマッダレーナがジェラールに物語る際のアリアです。

アンドリューは我が身とマッダレーナを重ね合わせ、歌詞を口ずさみながら陶酔の域に入っていきます。その歌詞の要約は「空腹と貧しさだけが私に残されました、あの親切で清純なベルシはその美しさを生かして私のためになんと身を売ってしまったのです、私を愛してくれる人に私は不幸をもたらしてしまったのです。私に愛の想いが芽生えたのはそんな辛いときでした、私の瞳の中にあなたの天国があります、あなたは独りではありません、私は愛なのです」。絶望の中でも生きることを魂の叫びとして歌う内容に、戸惑うジョーも次第に融和してゆく素晴らしい名シーンです。ここをクリック頂きますとこのシーンのYouTubeに飛びます。

森谷真理さんはこの映画を観て「アンドレア・シェニエ」を、そしてマッダレーナを、歌いたいと思ったのだそうです。ちなみに彼女が尊敬するオペラ歌手はこのマリア・カラスだそうです。

 

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